山村塾(こめづくり もりづくり ひとづくり)

25年以上、ずっとそばに。ウッドボイラーがない生活は考えられない

山村塾の関連施設である農林業体験交流施設「四季菜館」は、稲作コースの拠点施設であり、館長の椿原寿之さんとまり子さんのご夫婦が暮らしています。

こちらでのウッドボイラー導入は25年以上も前。導入時の話を伺うと共に、実際の使用感も味わわせていただいたので、感想と共にお届けしていきます。

 

給湯と暖房、そして堆肥作りも。ウッドボイラーのおかげで実現できること。

ウッドボイラーを初めて導入したのは山村塾発足の3年後、平成12年頃のこと。四季菜館を建てるときの建築計画に既に入っていたのだそうです。

 

「当時、導入されている人から勧められて、入れることになったんだと思います」とは、館長のまり子さん。

 

最初は、給湯を目的として入れることとなりましたが、後に床暖房も設置し、その時はなんと、自分達も工事に参加したのだそうです。

 

「100mほどのチューブを床下にはめ、放熱を防ぐために、大きな発泡スチロールでカバーするという作業を、大工さんと試行錯誤しながら一緒に手作業でやったんですよ。素人ながらやりましたよ」とまり子さんは笑います。

 

床暖房の熱を感じやすいよう、床板は薄めのものを使っています。

 

ただ、使っていくにつれ、チューブがネズミにかじられたり、水が溜まったりというトラブルもあって、今は専用のホースに入れ替えているそうです。

 

ウッドボイラーに入れる薪は、近所から集まってきた、家屋を壊した時などの端材などを中心に使っています。ただどうしても塗料や釘がついているものもあるため、薪割りの時に除去するようにもしています。とはいえ、取りきれないものもやはり出てくるので、燃やした後の灰に磁石を入れて、釘などの金属を集めて廃棄しています。

 

椿原さんご夫妻は、合鴨農法による無農薬の米づくりや可能な限り農薬を使わない露地での野菜づくりをしています。そういった農業に使用する堆肥作りにも、ウッドボイラーで燃やした後の灰が一役買っています。

 

「近隣のキノコ工場で出る残さ(シメジを収穫した後の残りかす)や家庭から出る生ごみを混ぜて発酵させて、堆肥にしているんです。もちろんボイラーの灰も利用しています。“土づくりは堆肥づくりから”という合言葉があるけれど、それが叶えられるんですよね」。

 

ウッドボイラーを燃やして給湯をまかない、家の中を温め、出た灰を肥料に還元して野菜作りに活かし…というサイクルを見事に作り上げ、循環型農業を実現させています。

 

今は2台目のウッドボイラーを導入し、毎日稼働させ、給湯も床暖房もと大活躍しています。隣接する離れには長男家族が住んでおり、こちらもウッドボイラーからの給湯を使っています。

 

「家2軒で使えるからすごいですよね。もう、ウッドボイラーがない生活なんて、考えられないね」とまり子さんはニコニコと話してくれました。

 

ぽかぽかやさしいぬくもり。お昼寝にぴったりの心地よさ。

実際に、ウッドボイラーでの床暖房の部屋でしばらく過ごさせていただきました。ちょうど11月で冷え込み始めた時期。床暖房を張っている居間は掘りごたつになっていて、お部屋全体がゆったりとした雰囲気。

この日は晴れていたこともあり、日当たりも良く、居間はぽかぽか。まるで小春日和な空間で、とても快適に過ごせました。

 

ウッドボイラーの床暖房の温もりももちろんあるのですが、窓も三重窓にしているので、空間から熱が逃げにくいようになっているのが、心地良さの秘密。

 

いつも温度はこまめにチェックしており、暖房の必要がない時はコントローラーで床暖房を止めることもできます。

 

「ここでお布団を敷いて寝るのもいいし、お昼寝がとびきり気持ちいいよ」とまり子さん。

 

温度が上がりすぎて、熱くなってしまうこともない、独特の優しいぬくもり。ぜひ、今後、多くの方に体感してもらえたら…と願います。

 


取材・執筆・撮影:奥野 妙子(プロボノライター)