山村塾(こめづくり もりづくり ひとづくり)

エネルギー供給だけじゃない! スタッフと施設利用者“なかま”の間に、新たな絆を生み出す、ウッドボイラーの存在。

山村塾を通して、ウッドボイラー(N-500NSBⅡ)を導入している「社会福祉法人たからばこ」。福岡県柳川市にある、障がい者の方が地域の中でも自分らしく暮らすことを目指す、就労継続B型及び生活介護施設です。こちらでは、ウッドボイラーを使い、暖房やお風呂を起こしています。燃料の薪を集めているのは施設スタッフと、施設利用者である“なかま”たち。たからばこがウッドボイラーを導入するに至ったきっかけや、活用方法についてお話を伺いました。

地球環境への優しさ、取り扱いの難易度の低さ、そして“なかま”の興味から、導入を決定。

たからばこでウッドボイラーを導入したのは2018年3月。本部長の覚知康博さんによると、施設の本部を建設するとなったことで、導入を検討したそうです。「以前から、山村塾の森林活動にたからばこは参加していて、ウッドボイラーを動かすところもみんなで見ていました。さらに、“なかま”の中にもすごく興味を示す人もいて。機器としても単純な構造で、女性の方でも上手に火をつけられて、爆発する恐れもない。さらに特に資格も必要もないということで、導入を考え始めました。燃料も、ガスや灯油などの化石燃料ではなくて木なので再生可能だし、薪集めで森林の手入れの手助けもできるのも良いと思いました」。

あらゆる意味で、地球環境に優しく、暖房や給湯ができることは魅力的だったよう。導入にあたり、不安はなかったのでしょうか?
「期待のほうが断然大きかったです(笑)。ただ、最初のうちは、冬になると薪が足りなくなることもありました。そこを救ってくれたのが山村塾。森林公園の伐採活動に、私どものスタッフと“なかま”も加わり、毎回たくさんの薪を集めることができています。他にも、近所の工務店と交渉して端材を分けてもらっています。そうやってだんだんと薪の供給も安定して行きました」。

 

福祉施設にはどんどん導入してほしい!“なかま”のやりがい創出も、エネルギーの安定供給も。

導入においては、もう一つ目的があったと、覚知さんは話します。「施設では、日々、“なかま”がさまざまな作業を行っていますが、ウッドボイラー導入で、さらに彼らの仕事を増やせると思いました。その読みは当たりましたね。大きな木は山村塾のスタッフの方に切っていただき、“なかま”は細い木を玉切り(一定の長さに切り分ける)する作業をしたり、薪を集めたりしています。彼らはそれだけでも嬉しいようです。また、自分たちで集めた薪でお湯を沸かしてお風呂に入ることも喜びを感じているよう。ご家族の方からも、森に行くと楽しそうだとか、表情も穏やかになるとお聞きすることもあります」。

現在で導入から5年。全く不自由はなく、安定してエネルギー供給し、給湯も暖房も続けることができています。これまで使用してきて、福祉施設にウッドボイラーを導入することは非常に意義があることではないかと、覚知さんは考えています。
 
「福祉施設の中でも、入浴がメインとなるようなところには、特におすすめです。高齢者施設の場合だったら、薪を入れて湯を沸かすという行為自体、利用者である高齢者の方にとっても懐かしいことでしょうから。スタッフと一緒に火入れを行って、さらに交流が深まることもあるのではないかと。施設運営されている方には、ぜひ導入を検討いただきたいと思いますね」と。

地球環境への貢献に加え、利用者のやりがいや生きがいの創出へ。ウッドボイラーは、さまざまな「いいこと」を生み出しています。

 

ウッドボイラーの存在が、スタッフと“なかま”の垣根を取り払い、本当の仲間に。

たからばこで、実際にウッドボイラーの操作を行うのが、施設スタッフの不破世界(ふわ とき)さん。現在、週に3回ほどお風呂給湯のために、薪を入れて火を起こすことを担当されています。導入時は、山村塾の指導のもとで火を入れて稼働させる練習を重ねたそうです。

「バランス良く燃えるような木の組み方を教えてもらいました。そこから何度も実践を重ねて、1回に入れる薪の量の塩梅や送風機の加減などは、動かしつつ覚えましたね」
 


今では1時間ほどで火を起こせるようになっているとか。

「夏は給湯のみですが、冬は、お湯の他にも温風が出て暖房としても活用できるので、朝から晩までフル稼働です。午前8時15分頃から薪を入れると、9時頃には温度が上がっているので、そこからお風呂を溜めていきます。薪をどこまで入れたらいいのか、最初はわからなかったですけど、メーターがオーバーフローしたくらいでストップさせます。ウッドボイラーの燃焼室の下にある送風バイブもその時点で止めますね」。

ウッドボイラーの仕込み以外に“なかま”の支援もあるため、ウッドボイラーのチェックも2時間の1回程度しかできないそうですが、特に困ることはないそうです。

そして、一緒に薪集めの作業ができることで、“なかま”との関係性も変化していると、不破さんは話します。
「スタッフと“なかま”。普段から施設のある地域で過ごしていますが、やはり立場は違います。でも山に入って薪集めをしているとき、『ちょっとこっち持って』とか『こっち行くよ』とか会話を交わすこともあり、山に関わる者同士のつながりが生まれて、本当の仲間になれていると感じられます」。

ウッドボイラーの存在が、スタッフと“なかま”の垣根を取り払って、新しいつながりももたらしてくれているようです。


取材・執筆・撮影:奥野 妙子(プロボノライター)